「よく飲むワインがチリ産だけど、チリのワインって有名なの?」
「チリのワインには安物のイメージがある」
「チリ産のおすすめワインが知りたい」
ワインといえばヨーロッパのイメージが強いですが、現在ではアメリカやオーストラリア、アルゼンチン、南アフリカなどでも生産されており、もはや国による優劣はないといわれています。
チリは世界第7位のワイン生産量を誇り、日本に一番輸入されているのも実はチリワインです。
本記事ではチリワインの特徴と魅力、主要産地やおすすめ銘柄を紹介します。

チリワインの特徴と魅力
チリワインには以下のような特徴と魅力があります。
- ブドウ栽培に適した気候
- コストパフォーマンスの高さ
- 世界的な高評価
ブドウ栽培に適した気候

チリはワイン用ブドウの栽培に適した気候帯である通称「ワインベルト」に属しています。
中でもカベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地として知られており「チリカベ」ブームが起こったほど。
しっかりと熟した果実の味わいが堪能できるワインとして世界的に評価されています。

ちなみにヨーロッパでは19世紀にフィロキセラという害虫被害が流行しましたが、チリの乾燥した土壌は害虫被害に強かったことから大きな被害はありませんでした。

コストパフォーマンスの高さ
チリワインはコストパフォーマンスの高さでも知られ、その安さと品質のの良さから日本への輸入量は第1位をキープしています(2015年〜2020年現在)。
チリワインの輸入量が増えたきっかけは2007年に日本とチリの間で発行されたEPA(経済連携協定)です。
EPA で結んだ関税率の逓減に伴い日本への輸入が増加し、2019年には完全撤廃されたことで手頃な価格でチリワインを楽しめるようになったのです。
世界的な高評価

チリワインの魅力は安さだけではありません。
近年では既存ワイナリーによるプレミアムワインの生産や、海外の名門ワイナリーとのコラボレーションなどにより高級ラインナップが拡充され、その味は世界的にも評価されています。
チリの名門、エラスリスのエデュアルド・チャドウィックとアメリカ・カリフォルニアワインの父と呼ばれるロバート・モンダヴィによる「セーニャ」は世界中のワイン愛好家を魅了しています。
また、ボルドーの名門シャトー・ムートン・ロスチャイルドを抱えるバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社とチリ最大のワイナリー、コンチャ・イ・トロ社によるコラボレーション「アルマヴィーヴァ」はチリ版「オーパス・ワン」とも称されています。
オーパス・ワン
フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵とロバート・モンダヴィのコラボレーションによるカリフォルニア・ナパ・ヴァレーのワインブランド

チリワインの主要産地
チリは南北に伸びる縦長の地形で、ワイン用ブドウの栽培地も北から南に点在します。
チリのブドウ栽培地域は、大きく以下の4区分に分けられます。
- コキンボ
- アコンカグア
- セントラル・ヴァレー
- サウス
また近年では上記の区分ではなく、土地ごとの気候差により以下のように3区分した呼称も使われています。
- コスタ:海岸面
- エントレ・コルディリェラス:海岸山脈とアンデス山脈間の平地
- アンデス:アンデス山脈の斜面
コキンボ
コキンボ(Coquimbo)地方はチリ北部に位置するワイン用ブドウ栽培地帯です。
コキンボ地方の主なブドウ産地と特徴は以下の通りです。
- エルキ・ヴァレー(Elqui Valley):チリ最北のワイン生産地帯でカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に栽培。代表的なワイナリーはビーニャ・ファレルニアなど。
- リマリ・ヴァレー(Limali Valley):ほとんど雨の降らない半砂漠地帯でカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に栽培。チリ最大のワインメーカー「コンチャ・イ・トロ」もこの地方のブドウを使用。
- チョアパ:ヴァレー(Choapa Valley):昼夜の寒暖差が激しい地帯で、主にシャルドネ、シラー、ソーヴィニヨン・ブランが栽培されている。デ・マルティノなどもこの地方のブドウを使用。
アコンカグア
アコンカグア(Aconcagua)はチリ中央部に位置するワイン用ブドウ栽培地帯です。
アコンカグア地方の主なブドウ産地と特徴は以下の通りです。
- アコンカグア・ヴァレー(Aconcagua Valley):日照時間が長く寒暖差のある地帯で、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に栽培。エラスリスやモンテス、セーニャなどが有名。
- カサブランカ・ヴァレー(Cassablanca Valley):1980年代から開墾された地域で、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールを中心に栽培。コノ・スルやベラモンテが有名。
- サン・アントニオ・ヴァレー(San Antonio Valley)/レイダ・ヴァレー(Leyda Valley):冷涼な気候を生かしたシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールを中心に栽培。カーサ・マリンやマテティックなどの生産者が有名
セントラル・ヴァレー
セントラル・ヴァレー(Central Valley)はチリ中央部に位置するワイン用ブドウ生産地帯です。
セントラル・ヴァレー地方の主なブドウ産地と特徴は以下の通りです。
- マイポ・ヴァレー(Maipo Valley):温暖で降雨量の少ない地帯で、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロを中心に栽培。主な生産者はコンチャ・イ・トロ、アルマヴィーヴァ、サンタ・リタなど。
- カチャポアル・ヴァレー(Cachapoal Valley):寒暖差ある乾燥地帯で、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心にメルロやカルメネールなどを栽培。主な生産者はコンチャ・イ・トロ、コノ・スル、サン・ペドロなど。
- コルチャグア・ヴァレー(Colchagua Valley):冷涼かつ寒暖差のある地帯で、第2のナパ・ヴァレーと期待される。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カルメネールを中心に栽培。主な生産者はモンテス、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルトなど。
- マウレ・ヴァレー(Maule Valley):チリ最大のワイン生産地で、夏は5カ月続く。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カルメネールを中心に栽培。主な生産者はヴィーニャ・サン・ペドロ、コンチャ・イ・トロ、パロ・アルトなど。
サウス
サウス(Sounth)地方はチリ南部に位置するワイン用ブドウ生産地帯です。
サウス地方の主なブドウ生産地と特徴は以下の通りです。
- イタタ・ヴァレー(Itata Valley):冬に十分な降雨量のある地帯で、植民地時代に初めてブドウ栽培が行われたといわれる。カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランなどを中心に栽培。主な生産者はモンテス、サンタ・カロリーナ、コンチャ・イ・トロなど。
- ビオビオ・ヴァレー(Biobio Valley):全体的に寒冷な地帯で、カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、リースリングやヴィオニエも栽培。主な生産者はコノ・スル、サンタ・アリシアなど。
- マリェコ・ヴァレー(Malleco Valley):新興の栽培地で、シャルドネやピノ・ノワールなどを栽培。主な生産者はヴィーニャ・アキタニア、クロ・デ・フォーなど。
チリワインのおすすめ銘柄
チリワインのおすすめ銘柄を紹介します。
アルパカ・カベルネ・メルロー
チリワイン入門として定番のアルパカのカベルネ・メルロー。
ブラックチェリーやプラムのような果実味と、まろやかなコクが特徴のデイリーワインです。
エスクード・ロホ・レゼルヴ・カルメネール
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドがチリで手掛ける濃厚なカルメネール。
牛肉や濃い味付けの料理にぴったりな赤ワインです。
モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨン
チリの代表的ワイン生産者、モンテスのカベルネ・ソーヴィニヨン。
熟した果実味を味わえるフルボディの赤ワインです。
モンテス・リミテッド・セレクション・ソーヴィニヨン・ブラン
モンテスのリミテッドシリーズのソーヴィニヨン・ブラン。
柑橘系の香りが特徴の爽やかな味わいを楽しめる白ワインです。
モンテス・アルファ・シャルドネ

モンテスのシャルドネは桃やパイナップルとバターのような香りを持つ白ワインです。
筆者も飲みましたが、しっかりとした果実味が感じられて非常に味わい深いワインに感じました。
チリワインの奥深さを楽しもう
本記事はチリワインの特徴や魅力、主な生産地について解説しました。
「安旨」なイメージのチリワインは、近年高級ラインナップの拡充で世界的にも高品質と評価されています。
まずは「チリカベ」から、チリのワインを楽しんでみてはいかがでしょうか。
