「オーストラリアワインで有名な品種や銘柄は?」
「オーストラリアのワインにスクリューキャップが多いのはなぜ?」
「シラーズとシラーの違いは?」
オーストラリアといえばシラーズを使ったスパイシーな赤ワインが特徴ですが、シャルドネやその他品種を使ったワインも造られています。
また、スクリューキャップの使用率が非常に高いのも特徴として挙げられます。
本記事ではオーストラリアワインの歴史と特徴、主要産地を紹介しています。スクリューキャップの使用率が高い理由や、シラーズとシラーの違いについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

オーストラリアワインの歴史と特徴
オーストラリアワインの代表といえば、シラーズを使った赤ワイン。また、スクリューキャップの普及率が高いことも特徴として挙げられます。
本章ではオーストラリアワインの歴史と特徴について解説します。
ワイン造りの始まりは1788年
オーストラリアでワインの生産が始まるきっかけとなったのは1788年のことです。ニュー・サウス・ウェールズ州の初代総督であるアーサー・フィリップ大佐がシドニーにブドウの樹を植えたのが始まりとされています。
1825年にはジェームズ・バズビーによりハンター・ヴァレーにブドウ園が開かれました。
そして1840年代にはドイツやイタリアからの移民がオーストラリに入植したことによって、ワイン造りの基礎が築き上げられたといわれています。
1950年代には長期熟成型のフルボディの赤ワインが登場し、世界中から高い評価を獲得しました。高評価を受けたことから、1960年代には本格的に生産を開始します。
その後も多様な品種での生産を拡大した結果、1990年代にはシラーズを使ったワインがオーストラリアワインの代名詞となりました。
2000年に入ると「イエローテイル」ブランドのワインがアメリカ市場で記録的な売上を伸ばしました。「イエローテイル」ブランドのワインは現在、日本でも入手しやすいワインの1つとして知られています。
オーストラリアワインといえばシラーズ
オーストラリアのワインといえば、シラーズを使ったスパイシーな赤ワインが代表的です。
ところでシラーズというブドウ品種に似た名前の「シラー」をご存知でしょうか。
シラーはフランス・ローヌ地方を原産とするブドウ品種で、黒コショウのようなスパイシーな香りと豊かなタンニンが特徴です。
一方シラーズは黒コショウの他ミントのような香りを備えた個性的な味わいが特徴です。シラーズのミントのような香りは、オーストラリアに原生するユーカリが影響しているともいわれています。
そして実はシラーズはシラーと同一品種なのですが、オーストラリアではシラーズと呼ばれています。産地による味わいの違い(=テロワール)から区別されて呼ばれるようになったといわれています。

スクリューキャップを普及させたのはオーストラリア

オーストラリアはスクリューキャップを採用したワインを普及させたことでも有名です。
1970年代、ワインに使うコルクは古くからワインを生産しているフランスやイタリアなどに優先的に流通していたため、ワイン新興国であるオーストラリアでは良質なコルクを入手できませんでした。
そこでオーストラリアではスクリューキャップの開発と普及に努めましたが、スクリューキャップにつきまとう「安いワイン」のイメージから、なかなか受け入れられませんでした。
しかし2000年になり、オーストラリアの優良生産者13名がスクリューキャップの採用を発表したことで、広く受け入れられるようになりました。コルク臭をなくすためにスクリューキャップを使用すると訴えたことが奏功したともいわれています。
スクリューキャップの普及はニュージーランドにも伝播し、現在では世界中で採用されるに至りました。

オーストラリアワインの主要産地
オーストラリアでは、主に以下の地域でワインが生産されています。
- 南オーストラリア州
- ニュー・サウス・ウェールズ州
- ヴィクトリア州
- タスマニア州
- 西オーストラリア州
南オーストラリア州
南オーストラリア州は、オーストラリア大陸中央南部に位置する州です。
南オーストラリア州の主なワイン産地と特徴は以下の通りです。
- バロッサ・ヴァレー:栽培面積の5割をシラーズが占める重要な産地。主にグルナッシュ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの黒ブドウ品種が栽培されている。
- イーデン・ヴァレー:主にリースリングとシラーズを栽培する標高の高い土地。
- クレア・ヴァレー:リースリングの銘醸地。スクリューキャップ普及に努めた産地としても有名。
- アデレート・ヒルズ:高級スティルワインやファインワインの産地。ピノ・ノワール、シラーズ。シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなどを栽培。
ニュー・サウス・ウェールズ州
ニュー・サウス・ウェールズ州は、オーストラリアワイン産業の起源の土地です。
ニュー・サウス・ウェールズ州の代表的なワイン産地はハンター・ヴァレー。
ハンター・ヴァレーではセミヨンを使った辛口スタイルの白ワインが有名です。シトラス系の香りを持つ軽い口当たりのワインで、長期熟成による味の変化も楽しまれています。
ヴィクトリア州
ヴィクトリア州はオーストラリア南東部に位置する産地で、冷涼な気候が特徴的です。
ヴィクトリア州の主なワイン産地と特徴は以下のとおりです。
- ヤラ・ヴァレー:ピノ・ノワール、シャルドネを使った高級ワインの産地。モエ・エ・シャンドン社が「シャンドン・オーストラリア」を構えている。
- モーニントン・ペニンシュラ:小規模生産者によって構成。ピノ・ノワールの産地として有名で、栽培面積の約半分を占める。
タスマニア州
オーストラリア南東部に位置する島で、ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・グリの生産地として注目を集めています。
小さなワイン産地ながらも、最高級ワイン生産者が多く存在することでも有名。地区により多様なスタイルのワインが生産されています。
西オーストラリア州
西オーストラリア州のワイン生産量はオーストラリア全体の3%にとどまりますが、その品質はトップクラスといわれています。
西オーストラリア州の代表的なワイン産地はマーガレット・リヴァー。
マーガレット・リヴァーは年間を通して温暖な気候で、フランス・ボルドーと比較されることもあります。
広く栽培されているブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シャルドネなどで、豊かな果実味と力強さが特徴です。
おすすめのオーストラリアワイン
おすすめのオーストラリアワインを紹介します。
ペンフォールズ カリムナ シラーズ
オーストラリアを代表する生産者「ペンフォールズ」による、オーストラリアのシラーズらしい味わいを楽しめる1本。アメリカの代表的生産者がシャトー・モンテレーナだとすると、オーストラリア代表はペンフォールズともいえるでしょう。
チョコミントのような香りと、ほんのりと黒コショウのようなスパイシーな香りが融合。豊かな余韻を伴った本格的なシラーズです。
10万円を越えるペンフォールズの最高級ライン「グランジ」の片鱗を5,000円前後で味わえると考えると安いともいえるでしょう。
イエローテイル シラーズ
スーパーやコンビニで見かける、カンガルーのような動物のイラストが目印の「イエローテイル」より、オーストラリアの代表的品種シラーズを使ったワインです。
ベリー系の果実味とシラーズらしいスパイシーな風味が特徴ですので、同じように香辛料のきいた料理に合わせるのがおすすめです。
1本1,000円以下というお求めやすい価格帯なので、デイリーワインとして常備してもいいでしょう。
ピーター・レーマン バロッサ・シラーズ・ポートレート
バロッサ・ヴァレーでワインを生産するピーター・レーマンによるシラーズ。
チョコレートとバニラのような香りと、ソフトなタンニンを持つフルボディのワインです。
ラムチョップやローストビーフとのマリアージュを楽しみたい1本。
カルロロッシ ダーク
低価格ながら、豊かな果実味と力強い味わいが楽しめる赤ワイン。
ペットボトルの他、3Lのバッグインボックスタイプも販売されており、デイリーワインとしても人気です。
マッキノンズ・シラーズ
フルーティな果実味と甘酸っぱさのバランスが良い飲みやすいミディアムボディの1本。
やや強めのアルコール感と、シラーズらしいスパイシーな香りも特徴です。
アンドリュー・ピース ワインメーカーズ・ノート カベルネ/ シラーズ
ミントやカシスの香りとオーク樽由来のタンニンが特徴のミディアムボディワイン。
肉を使ったピザやバーベキュー、すき焼きなど、味の濃い肉料理とも相性抜群の1本です。
オーストラリアワインの主要産地と特徴 まとめ
本記事はオーストラリアワインの主要産地と歴史、特徴などを紹介しました。
オーストラリアといえばシラーズを使ったスパイシーかつミントの香りが楽しめる赤ワインが代表的です。
同じ品種ながらフランスのシラーとは全く異なる味わいや香りを比べてみるのも面白いかもしれません。